新築業務の方はもちろん、リフォームを行う方も、これからは省エネ住宅についての基本用語のマスターは必要ですので、今回は「外皮」に続いて「一次エネルギー消費量」について説明いたします。
一次エネルギー消費量は、住宅・建築物の省エネルギー性能の評価に用いる
住宅・建築物の省エネルギー性能の評価(判定)は、「外皮性能を評価する基準」と「一次エネルギー消費量を評価する基準」を用いて行います。
省エネ住宅をつくるうえで、一次エネルギー消費量は重要な評価の指標の一つですので、省エネ住宅の省エネ性能を語る上で非常に重要な用語です。
一次エネルギー消費量とは何?一次エネルギーとは?
一次エネルギー消費量は、住宅・建築物の省エネ計算に用いられている
一次エネルギー消費量とは、住宅や建築物を利用・使用する時に建物全体で消費するエネルギーを熱換算したものです。
2013年の建築物省エネ法の省エネ基準の改正によって、省エネルギー性能の評価の指標として「一次エネルギー消費量」が採用され、住宅・建築物の省エネ計算に用いられています。
一次エネルギーとは何か?二次エネルギーとの違いは?
私たちは、家庭や事業所で二次エネルギーを利用して活動や生活を送っています。
【一次エネルギーとは】
原油、石炭、天然ガス、水力、風力、太陽熱、地熱、原子力などの加工されていない状態で供給されるエネルギーのことです。
【二次エネルギーとは】
電気、LPガス、都市ガス、ガソリンなど、一次エネルギーを利用するために加工や転換して得られるものです。
なぜ一次エネルギー消費量を用いて省エネ計算を行うの?
住宅や建築物の中は、電気・ガス・灯油などの二次エネルギーを用いることが多いですが、電気はKWh、都市ガスは㎥というようにそれぞれ単位が異なります。単位が異なると、建物全体のエネルギー消費量を計算することは困難であるため、同じ単位に換算して計算する方法が取られています。
二次エネルギーは、建築物省エネ法施行規則で定められた一次エネルギー換算係数を乗じて一次エネルギーに換算し、同じ単位にして建物全体で消費されるエネルギーを求めることができます。それを一次エネルギー消費量と言い、共通単位はMJ,GJが使用されています。
住宅の一次エネルギー消費量の基準適合の判定(評価・計算)方法
住宅の一次エネルギー消費量の判定をするための対象設備
・暖房設備 ・冷房設備 ・換気設備 ・照明設備 ・給湯設備 ・家電・調理等 です。
これらの一次エネルギーを計算して合計します。
再生エネルギー設備を採用している場合はその設備も判定の対象です。
例えば、太陽光発電設備やコージェネレーションシステムなどを採用している場合は、上記の
一次エネルギー消費量からその一次エネルギー消費量を削減して計算します。
住宅の一次エネルギー消費量の基準適合の判断方法は?
省エネ基準に適合する住宅かを判断する場合は、評価対象の住宅が、
【基準適合の評価:基準一次エネルギー消費量≧設計一次エネルギー消費量】
となると適合となります。(下の図を参照)
基準一次エネルギー消費量はどういう数値なの?
基準一次エネルギー消費量は、このように決められて数値が出されています。
■ 平成25年省エネ基準相当の外皮性能
■ 2012年時点の標準的効率の設備機器を基準仕様としている
暖房・冷房・換気・照明・給湯の設備機器の合計の一次エネルギー消費量に0.9を掛けて、
家電・調理等の一次エネルギーを足した数値です。
(※家電・調理に関する一次エネルギー消費量は、一定の基準値。)
設計一次エネルギー消費量とは?
設計一次エネルギー消費量は実際に建築する住宅の設計仕様で算出した一次エネルギー消費量のことです。
(※家電・調理に関する一次エネルギー消費量は、一定の基準値。)
このようにして、住宅が省エネ基準、ZEH水準、ZEHなどに適合しているかを、外皮性能と一次エネルギー消費量の基準に適合しているかを判定します。
一次エネルギー消費量の計算は、ネット上のプログラムを使用する
住宅の一次エネルギー消費量の計算は、実際には建築研究所、国土技術政策総合研究所が作成した「住宅に関する省エネルギー基準に準拠したプログラム」を利用します。ホームページにありますので、ネット上で入力して計算することができます。
プログラムはこちらです。
そのプログラムを用いた後に、外皮計算の数値をもとに、設計一次エネルギー消費量と基準一次エネルギー消費量の比較を行い適合判定を行います。
適合しなければ、設計仕様の変更などの企画を適合するまでやり直すことになります。
2025年にすべての住宅は省エネ基準適合義務化になり、省エネ計算が必要
2025年にはすべての住宅は省エネ基準適合義務化になります。省エネ計算は避けることはできません。
設計の方だけでなく、営業や工務監督の方も知っておくと、お客様に対して省エネ住宅に関する説明がしやすくなります。
実際には、実践や練習で計算を行うことによって、計算方法が把握でき理解が深まりますので、まだ計算をしたことがない方は、是非チャレンジしてみてはいかがでしょうか。