2030年までに新築住宅は、ZEH基準の水準へ

住宅の省エネルギー化に向けた動きは、どんどん加速しています。政府は、2050年のカーボンニュートラルの高い目標に向けて、それを達成するための2030年の目標を設定して、住宅・建築物の省エネ強化を実施しています。
2025年に住宅は省エネ適合義務化になりますが、これで終わらず2030年頃にはさらに住宅の省エネ基準はレベルアップしそうです。

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2025年4月、原則全ての住宅・非住宅は省エネ基準適合義務化

2022年6月17日に公布された「脱炭素社会の実現に資するための建築物のエネルギー消費性能の向上に関する法律等の一部を改正する法律(令和4年法律第69号)」によって、2025年4月1日に原則全ての新築住宅・非住宅は、省エネ基準適合が義務付けられます。

さくら

「原則」とされているのは、適合義務化から除外されるものがあるからです。

省エネ基準適合の義務化から除外される建築物とは

除外される建築物
・居室を有しないこと又は高い開放性を有することにより、空気調和設備を設ける必要がないことが想定される用途に供する建築物(畜舎や自動車車庫など)
 ・保存のための措置等により省エネ基準に適合させることが困難な建築物(文化財指定された 建築物など)
・仮設建築物(建築基準法第85条に規定する仮設建築物)
・10㎡以下の建築物

省エネ基準適合義務化で、全ての住宅の省エネ性能をボトムアップ

現行法では、 
・床面積2000㎡以上の大規模住宅:届出義務 
・床面積300㎡以上の中規模住宅:届出義務 
・床面積300㎡未満の小規模住宅:説明義務
小規模住宅については、建築物省エネ法の省エネ基準適合に誘導するように、建築主に対して建築士からの説明義務のみで良いことになっています。

出典:国土交通省住宅局資料

政府は、2025年のすべての住宅の省エネ基準への適合義務化によって、住宅全体の省エネ性能のボトムアップ(底上げ)を行うことを目的にしています。
そこで2025年4月以降は、適合義務化の省エネ基準は最低基準となり、次の省エネ強化の基準に突き進むことになります。

次に来るのは、2030年頃予定される「ZEH基準の水準に適合義務化」

政府は、「遅くとも2030年までに、住宅・建築物が誘導基準への適合率が8割を超えた時点で、2025年に適合義務化された省エネ基準を、ZEH基準の水準に引き上げる」としています。

さくら

ここでいう誘導基準というのは、ZEH水準(ZEB水準も含む)の省エネ性能を持つ住宅・建築物です。それが8割を超えると、適合義務化となる省エネ基準がZEH水準に変更されるということです。

政府がいう誘導基準とは、断熱等性能等級5かつ一次エネルギー消費量等級6の性能を有する住宅です。
ZEH基準の水準の省エネ住宅とは、強化外皮基準及び再生可能エネルギーを除いた一次エネルギー消費量を現行の省エネ基準値から20%削減した住宅です。

さくら

ちなみに現行の省エネ基準の断熱等性能等級は等級4で、一次エネルギー消費量等級も等級4です。一次エネルギー消費量等級は等級5が最高水準です。

『ZEH』と「ZEH水準」の内容の違いについては、『ZEH』と「ZEH水準(ZEH基準の水準)」の違い」の記事をご覧ください。

2022年4月施行、断熱等性能等級5および一次エネルギー消費量等級6

2022年4月1日に、断熱等性能等級5一次エネルギー消費量等級6が創設されました。
 ・断熱等性能等級5はZEH基準と同じレベルです。
 ・一次エネルギー消費量等級の等級6は、ZEHを上回る水準です。
   BEIは0.8 以下(再生可能エネルギーを除く)で、再生可能エネルギー等を除き、基準一次エネルギー
   消費量から20%以上の一次エネルギー消費量削減という等級です。

出典:国土交通省資料「住宅性能表示制度の省エネ上位等級の創設」より

2025年の省エネ基準適合住宅は5年後に既存不適格となるか?

2030年に省エネ基準が「ZEH基準の水準」となると、2025年の省エネ基準の住宅は2030年以降の省エネ基準に適合しないことになるかもしれません。まだ、詳細は不明ですが、政府は「2030年に新築される住宅・建築物については、ZEH・ZEB基準の水準の省エネ性能が確保されること」を明示しています。
一歩先をみて、2030年の省エネ基準の家づくりを目指すことも必要かもしれません。住宅の省エネ強化は、今後は待ったなしになりそうです。

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